はじめに
はじめまして。私はヨーロッパで言語学を教える大学教員になりたいと考えている学部生です。この記事では、学部生の段階から大学教員になるためにできることについて解説していきます。大学教員になることは、日本でもヨーロッパでも簡単なことではありません。なぜなら、大学教員という仕事の定員が少ないからです。ここでは、言語学の分野において解説しています。医学などでは大学が多いため、もう少し違ったアプローチがあるかもしれません。
1 留学し海外で学位を取る
海外で取得した学位を持っていることは、国際的に通用するスキルを持っていることの証明になります。日本で大学教員になっている日本人の先生の多くは、アメリカ合衆国などでPhDを持っていることが多いです。留学することで世界が広がり、新しい先生や友達と知り合うことができますが、その先生たちとのコミュニケーションが大学教員になるために有利に働くことがあります。運が良ければ、大学教員の推薦状や仕事の紹介などがある場合もあります。留学先の先生から魅力的なジョブオファーが得られることも考えられます。たとえ仕事する場所が海外ではなく国内になろうと、留学した経験は必ず生かされます。それは直接的な利益だけではなく、人格の完成に繋がることだからです。日本の教育基本法という法律では、「第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」という条項があります。留学することで多様な価値観に触れ、それが人格の完成に大きく寄与するのです。
学部生のうちに、できれば長期留学することで、海外の(ヨーロッパの)雰囲気に触れ、人脈を作り、新しい価値観に刺激されることが、研究者としての大学教員のキャリアに必ず活きてきます。
2 PhD(博士後期課程)の学位を取得する
大学教員になるためには、国を問わず、PhDという博士後期課程修了により得られる学位が必要です。PhDを持たずに大学教員になることはとても難しいです。大学の学部を終了するとBA(Bachelor of Arts)を取得することができ、大学院修士課程を修了するとMA(Master of Arts)を得ることができ、その先がPhD(Doctor of Philosophy)です。「哲学」という意味のこのphilosophyという言葉の語源は、「知ることを愛する」というものです。この言葉は、まさに研究者にとって大切なことで、また高等教育機関の役割を担う大学という場所で勤務するために必要なことです。
では、BAをとるための学部ではなにを学ぶのでしょうか? それは、学問の基礎です。大学では高等教育を行いますが、大学の教員になるためにはあくまでも基礎教育なのです。MAをとるための修士課程では研究の基礎を学び、多くの生徒が論文を執筆します。PhDをとるための博士課程では、より本格的な研究の方法を学びます。いずれのステップも大切にすることで、研究者としてのキャリアに繋がるのです。
学部生の段階では、PhDをとることを目標に、研究者としての基礎教育をしっかり受講する必要があります。
3 学問を楽しむ
研究者というのは、24時間365日学問に触れることができる特権があります。その特権を楽しむ姿勢がなければ、研究者としては向いていないでしょう。逆に、いつでも研究することが好きであれば、研究者である大学教員にとても向いていると言えるでしょう。私の知り合いである大学教員は、毎日午前1時まで研究室(研究室とは、大学教員にある個室などの部屋のことです)に残り、研究をしています。そのようなことが苦痛になるのであれば、あなたは大学教員に向いていないでしょう。その基礎として、大学の学部での勉強を思い切り楽しむことが重要です。
学部生の段階では、あまり深く専門を決めずに、好きな授業や面白いと思ったさまざまな科目に触れ、その分野での論文を読むなどして、最新の研究に触れながら、学問を楽しむことが重要です。
4 英語を習得する
たとえ日本国内で過ごすことになっても、たとえヨーロッパの非英語圏に行くことになっても、英語の知識は必須です。英語で書かれた論文の数が多いことも英語を学ぶべき理由です。また、ヨーロッパの非英語圏でも英語はもはや第二外国語としての位置を保っています。また、英語が話されている国であるアメリカ合衆国は、言語学だけではなく様々な分野での研究で世界トップレベルの地位にあります。アメリカ合衆国は研究大国なのです。そのため、アメリカ合衆国で書かれた論文を読むためにも、英語の知識が必要なのです。
学部生の段階では、英語圏などに留学したり、大学に来ている留学生と交流したりすることで、英語の知識を磨くことが大事です。
5 就職活動に参加しない
日本の大学には、私が最も嫌うこととして、就職活動というものがあります。大学の授業(私達は年間10000ユーロ近く払っているのです!)を欠席してまで企業の面談に参加して良いという馬鹿げたことを言った教員もいます。PhDをとるためには就職活動などに時間を費やしている余裕は全くありません。大学院の入試の勉強や英語の勉強、また専門としたい分野の勉強などを本気で取り組むべきなのです。就職活動は時間の無駄以外の何ものでもありません。大学生は勉強に集中するべきです。
学部生の段階では、アルバイトや就職活動などはしないことが大事です。
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