こんにちは。ほのかです。
YouTubeの政治的な動画と、私の政治観
日本では、YouTubeで「外国人が絶賛する日本」とか「日本に憧れる外国人」といった動画が。毎日嫌になるほど投稿されています。
私はそのような動画を見ませんが、その理由は彼らの主義主張が偏っていることと、日本の存在をなんとしてでも肯定させたい、主に右翼の人の主義主張が透けて見えるからです。私はその差別的で排他的な環境から、「日本が好き」というよりかは「日本人でいて恥ずかしい」と思うことのほうが多いですが、「日本が好き」とか「日本人でいて誇りに思う」などと言っている人を、”それだけの理由で”否定することはしません。
私は、「右翼」「左翼」というのは悪い言葉ではなく、逆に良い言葉でもないと思っています。なぜなら、「私は○○党を支持する」というのは、「私はリンゴが好き」という話とさほど変わらないからです。「私は○○党を支持しない」というのは、「私はピーマンが好きではない」ということと大きく変わりません。
ただ、人種差別に限らず、差別主義者かどうかが大事なのです。もっと平たく言えば、何が好きであろうと構わないけれど、人を傷つけるようなことをするなということです。例えば日本国旗を掲げるのは悪いことではないし、逆に素晴らしいことだと思いますが、だからといって外国の国旗を燃やしてはいけないということです(この場合、「外国」と「日本」を入れ替えても同じことです)。
なお、この場合の「外国人」として、黒人やムスリム、南アジア人などが起用されることはほぼなく、多くは白人、ヨーロッパ系、もしくは東アジア系です。これは「Youは何しに日本へ?」などの番組でもいえることです。
イタリアで外国人がイタリアを称賛するYouTube動画を見かけない、2つの理由
少なくともイタリアにはそのような動画はありません。かといって「イタリアはこんなに遅れている!」といった動画もありません。そもそもYouTubeで政治的な主義主張を絡めた動画を見ることがあまりありません。
それは2つの原因があります。
ひとつは、イタリア人がそれほどイタリアを好きではないということ。私の友人に聞いたところ、移住できるものなら海外移住したいと答える人が圧倒的多数でした。主な理由は、仕事がないからです。私の友人はかれこれ10年以上仕事を探しています。その間わずかな副収入でなんとか暮らしています。
もうひとつは、イタリア人が好きなのは「イタリア」という国ではなく、自分が住んでいる地域(コムーネ)だということです。例えばイタリアに対して愛国心を持つのではなく、アブルッツォ州であったりラクイラ市であったり、そういった州やコムーネに対して愛郷心(campanilismo: カンパニリズモ)を持っているのです。ちなみにcampanilismoは「地方主義」とも訳されます。
イタリア人の愛郷心(カンパニリズモ)を確認する簡単な方法
カンパニリズモを見るには、イタリア人に「どこから来たの?(di dove sei?)」と聞けばすぐわかります。
「私はイタリア人です(sono italiano)」とか「私はイタリア出身です(sono dall’Italia)」と答えるイタリア人は少数でしょう。
「私はラクイラ出身です(sono aquilano)」とか「私はアブルッツォ出身です(sono abruzzese)」と答える人が圧倒的大多数です。
ちなみに、「○○の街出身である」ということを表現する1語の言葉(この例ではaquilanoなど)は、どのコムーネ(comune)にも存在します。ちなみに、コムーネという言葉を訳すとき、一番適当なのは「市区町村」であったり「自治体」といったりすることなのですが、日本語で「市」であろうと「村」であろうと、イタリアでは全部「コムーネ」になります。
ローマ出身ならromanoで、ミラノ出身ならmilanese、ナポリ出身ならnapoletanoです。
もっと小さな街を見ていきましょう。
プラートラ・ペリーニャ(Pratola Peligna: 人口約7500人)ならpratolanoで、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A3
ノルチャ(Norcia: 人口約5000人)ならnursinoで、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%A3
ヴィッソ(Visso: 人口約1000人)ならvissanoで、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%BD
カステルサンタンジェロ・スル・ネーラ(Castelsantangelo sul Nera: 人口約250人)ならcastellaniです。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%A9
そのため、「外国人がイタリアをこんなに素晴らしいと言っている」といった趣旨の動画はイタリアでは拡散されにくいものと思われます。
イタリアで見られる排外的、人種差別的なプロバガンダとは?
その代わり、主に右翼の政治家(同盟: Legaやイタリアの同胞: FdI)が「移民が動物をこんなに雑に扱っている!」「移民が公共のものをこんなに汚している!」「移民がイタリア人を殺した!」と、感情的なプロバガンダを投稿しています。誇張され、またかなりのバイアスがかかっていますが、虚構の出来事ではありません。そのため投稿媒体となりうるYouTubeやFacebookなども規制をできずにいます。「これ事実でしょう?」と言われてしまえば反論ができないためです。そのため、「一部の」移民がしたことを「移民全体がこうだ!だからイタリアは移民を受け入れるべきではない」と扱っているのです。
このような場合、移民(migranti)という言葉の対象になるのは、圧倒的に黒人やイスラム教徒です。
イタリアはカトリックの国なので、「キリスト教的な価値観を共有できず、どんな場所でも自国の文化を持ち込むイスラム教徒とは相性が合わない」と考えているイタリア人は比較的多いように見えます。

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