こんにちは。私はイタリアに留学したときに、ある程度(CILS B2程度)の語学力を持ってからイタリアに行きました。それでもイタリアでの授業には困難が多くありましたし、わからない単語も多くありました。私の場合は正規留学ですが、語学留学以外の場合は基本的に、語学力がある程度ないと現地で余計な苦労をすることになります。そのため、語学力なしで留学することは、ただでさえ大変な留学生活の難易度を飛躍的に上げてしまうことになります。
ここでブログの記事を終わらせても良いのですが、ここでは「なぜ語学力がないと留学に苦労するのか」ということではなく、語学力がない場合の弊害を書いていきます。
1 現地の人に迷惑をかける
突然、あなたの家に全くあなたの母語(日本語やイタリア語など)が話せない人が来たとしましょう。どうやって彼とコミュニケーションを取りますか?? Google翻訳などの力を借りるか、ボディーランゲージなどのノンバーバルな方法に頼るか、いろいろな方法はありますが、少なくとも双方に多大な苦労や迷惑がかかることは明らかです。たとえばあなたが郵便局で働いているとして、そこにあなたの母語が全く話せない人が来たら、正直「迷惑だ」と思ってしまいますよね。それと同じことを、もしあなたが語学力なしで留学しようとしているなら、そうしていることになります。「この人は本当にこの国で生きていく意思があるのか??」と現地の人に思われてしまうかもしれません。
もちろん、ある程度勉強していてもこのような困難には立ち向かいますが、相手にかける迷惑の度合いが明らかに異なるのです。たとえば簡単な日本語で説明すればわかる相手と、英語を使わなければコミュニケーションがとれない相手では、後者のほうが大変ですよね。それだけ迷惑がかかるということです。
2 配偶者などはいつでも頼れるわけではない
配偶者に頼れば語学力がなくても良いと思う方がいるかもしれません。しかし、配偶者はあなたの恋愛におけるパートナーではありますが、あなたの生活における語学的なトラブルをAからZまで24時間サポートする立場の人ではないはずです。後者は「通訳」という専門の仕事の域であり、報酬(もちろんすべてが金銭的なものではなくても大丈夫ではあるが)が支払われるべきです。しかし、都合の良いように無給で奉仕を強いるという関係には、いずれ負荷となって何らかの負の側面が現れてしまうはずです。「愛があれば解決する」と言って海外にパートナーと住んでいる人の中で、離婚する人は3分の1にのぼると(日本人と外国人で国際結婚した夫婦の国際離婚)いわれています。つまり、もちろんそれだけではありませんが、離婚への小さな理由になってしまうことは確かでしょう。しかも、いろいろな理由で配偶者に都合が悪いこと(個人のプライバシーや仕事関係のことなど、あまり配偶者に知られたくないこと)に関しては、結局自分自身の語学力でどうにか切り抜けるしかないのです。そのため、やはり語学力は裏切らないのです。
3 Google翻訳に頼れない語学的な問題への解決策を失ってしまう
極端な話ですが、ある自動翻訳が「100文字のフォーマルで丁寧な文章」と「10文字のインフォーマルで気楽な文章」を全く同じように訳したとします。その場合、あなたは仕事できちんとしたメールを書かなければいけないのに、そのあなたの熱意は伝わらず、「この人は仕事とプライベートの区別がついていない人だ」と思われてしまいます。また、下品な例ですが、ある人が「culo(お尻)」と言ったことであなたは「何を言っているんだ…?? 失礼な人だな」と思うでしょうが、実は「幸運」と言いたかったとします。実際にculoには「お尻」のほかに「幸運」というスラングでの意味があるのです。このような微妙なニュアンスにより、相手に少なからず誤解を与えてしまうことは、母語でも起こってしまうのにそれが外国語になると余計に複雑な問題に変わります。そのため、後者の例で「この人は失礼な人だ」と思ってしまい、友情が壊れてしまうかもしれません。こういったことを防ぐには、やはり語学力を持っていないといけないのです。
まとめ
「現地で語学力を向上させれば良いじゃないか」という意見もありますが、その場合このような例で手遅れになってしまうのです。とくに何でもホストファミリーや配偶者に聞いてしまうと、やはり迷惑が掛かります。少しならもちろん良いのですが、何もわからない状態の人に説明するのはとても能力をひつようとします。私は日本語教師なので、初心者向けに日本語を教えることの難しさを知っています。上級者ならすぐ理解してくれるようなことを、丁寧に伝えなければ伝わらないのです。ビジネスの関係なので切り抜けられますが、これが無給の奉仕となるといつか限界が来るでしょう。せっかくの良い機会である留学や海外移住を楽しむためにも、語学力をなるべく向上させてから渡航することを強くお勧めします。ホストファミリーや配偶者は、あなたの語学的な部分を無料でサポートしてくれる専属教師ではありません。
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