こんにちは。ほのかです。
私は2020年から翻訳者として働いています。今回は、通訳者をしている友人と話してみて、翻訳者と通訳者の違いについて書いていきます。
翻訳者とは?
辞書で引くと、
ある言語で表現された文章の内容を、原文に即して他の言語に移しかえること。
と書いてあります。
翻訳の仕事は、主に文章を媒体として行われます。そのため、ネイティブと実際に会話する必要がないことがほとんどです。具体的には、文章が提示され、それをCATツールと呼ばれるソフトを使って翻訳していきます。
文章が渡され、それを翻訳し、期日(納期)までに提出するのが一般的な働き方です。納期があるので、完璧主義者で何日も向き合うわけにはいきません。とはいっても、私が働いている会社の場合、納期までには数日間あります。納期までなら時間がかかってもいいので、間違いのないように翻訳することが求められます。
映像翻訳という分野もあり、たとえば動画の内容に字幕をつけるといった仕事もありますが、一般的には文章をベースに行われます。
フリーランスの翻訳者の場合、時給や最低賃金という概念はありません。1文字あたりいくらで翻訳するという文字単価が決まっているか、自分でそれを選び、文字数に合わせたお金を受け取ります。
翻訳者に必要な能力、向いている人
翻訳は、多くの場合意訳です。たとえば”You’re right”を「あなたは正しいです」と訳すのが直訳、「その通り」「せやな」などと訳すのが意訳です。単純に一語ずつを翻訳していくわけではありません。文脈とTPOに応じて訳さなければいけません。そのため、外国語に限らず、高い日本語力と日本語の語彙力も求められます。「あなたは正しいです」なんていう言い方は、日本人の多くがする自然な言い方ではありません。そのため、訳する言葉はネイティブか、ネイティブに近い能力を持っていなければいけません。そのため日本語母語話者の私に来る案件の多くは、日本語をイタリア語に翻訳する案件ではなく、イタリア語を日本語に翻訳する案件です。
とくに難しいのが歌詞の翻訳です。日本語として自然な表現にするだけではなく、たとえばアナ雪の主題歌のように原文とは違う新しい世界観を出すか、一部のKPOPの歌詞のように原文に忠実にならなければいけません。また、韻を踏むなど、高い言語能力も求められます。たとえばKPOPの歌詞を日本語に直す(直訳する)だけならさほど難しくありませんが、日本語バージョンとしてまたひとつの新しい曲を作るとなると、求められる能力は前者の比ではありません。少なくともいまの私に、イタリア語→日本語でそれができる自信はまったくありません。
しかし、翻訳では、仕事の形態にもよりますが、辞書を引いたり検索したりすることもできます。そのため、中級者(英検準1級、イタリア語検定2級程度)でもできる案件もあります。そのため、新しい言葉をメモするなどして、覚えながら仕事をすることもできます。
また、会社にもよりますが、フルタイムではない場合、好きな時間に好きなだけ働くこともできます。そのため、月数万円程度の副収入として続けることもできます。その辺のアルバイトよりはよっぽど時給が良いです。
通訳者とは?
辞書で引くと、
互いに言語が異なって話が通じない人々の間に立って、双方の言うことを翻訳して話を通じさせること。また、その役目の人。
と書いてあります。
通訳者の場合、オフラインオンライン問わず、「相手を見ながら、その時間を共有する」ことが必要である場合がほとんどです。そのため、フリーランスの翻訳者にはない時給が発生し、少なくとも最低賃金は守られます。
通訳者に必要な能力、向いている人
通訳はとにかくスピードが大事です。そのため、”apple”といわれてすぐに「りんご」と訳さなければなりません。調べている暇はないので、「みかんだったかな…?」などと迷っていることはできません。意訳よりかは直訳のほうが好まれる傾向にあるため、”blue”は「青」で”green”は「緑」というように、すぐ対応する単語が出てくるようにしなければなりません。
主に同時通訳と逐次(ちくじ)通訳があり、同時通訳は話している途中から訳していくもので、逐次通訳は1文ごとなど、話すのと訳すのが同時ではないものです。もっと具体的に書くと、I’m 私は Honoka ほのかで、 and そして I 私は love music 音楽が好きです、のようになるのが同時通訳で、一方の逐次通訳は I’m Honoka and / 私はほのかで、 / I love music / 私は音楽が好きです、のようになります。
とくに同時通訳では、高い集中力が求められ、ゆっくりと適切な訳を選んでいる時間はありません。
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