2020年7月20日
Honoka Miki
はじめに
本文中の数字は最後に記した参考記事のリンクと対応している。
1.活動に向けた思い
防災について
イタリアは地震が多い国で、歴史的に見ても地震により大きな被害が出ている(1)。歴史的な建物が多く、また財政難などにより、国内の耐震化は進んでいない(2、3)。また、市民の間での防災意識が足りていない(4、5)。そのため、一度地震が起きると、たとえマグニチュード4の地震でも、死者が出てしまう(6)。イタリアで1908年に発生したメッシーナ地震は、近代最悪の地震であったが、その死者の大半は10メートルを超える津波によってではなく、地震により建物が倒壊したからである(7)。東日本大震災の死者はほぼ津波が原因であったことと対比しても(8)、イタリアの建物の脆弱性がうかがえる。
以上のことを解決するためには、防災意識をイタリア人の間で高める必要があると考える。一度防災意識が高まれば、国としての財政的な支援などが動き出すだろう。そのため、防災の重要性ならびに個人で防災のためにできることを伝えていくことが、イタリアを日本のような防災対策の進んだ国にするための最善の方法であると考える。実際、2016年のイタリア中部地震で被災したが、人的被害のなかった街Norciaでは、日本に防災対策を学んでいる(9)。
このような動きを促進するために、講演活動や本の出版、サイトやメールマガジンなど情報メディアの運営、スタディツアーの企画などを考えている。講演活動は私たち運営メンバーが行うものだけでなく、講演してくださる方を募って行う。本の出版としては、自費出版になるかイタリアから本が出版できるかも含めて検討していきたい。情報メディアとしてはなんらかのWeb媒体(自分でサイトを作るか、既存のプラットフォームを利用するか)を考えている。スタディツアーとは、実際にイタリアの防災に関心のある日本人をイタリアの被災地に招くことのほか、日本の防災に関心があるイタリア人を日本に招くことも考えている。
参考記事
2 イタリアの地震対策が遅れている理由―「歴史建造物」と「財政難」が壁に

3 イタリア 歴史的景観にも地震対策を
4 「イタリアに防災文化ない」地震多発国に重い課題 耐震化進まず、歴史的建造物保全と両立も

5 イタリア中部地震に見る、日本とイタリアの違い

6 イタリア南部イスキア島で地震、二人死亡 幼い三人兄弟救出

7 Natural Disasters(ISBN-10: 0893560820)
8 東日本大震災の死者、ほぼ津波が原因 60歳以上が65%

9 イタリア地震:「防災、日本に学べ」 震源近くノルチャ、対策で死者ゼロ
心理学について
イタリアにおいて、2016年に起きた地震から2年間で、15人の方が自死された(※「自殺」という言葉は重すぎるため、「自死」という言葉を使うことが増えている。詳しくは10。記事自体は11を参照)。また、2009年に地震があったラクイラにおいて、一時的にではあるものの最大35%もの人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の影響を受けたと言われている(12を参照。原文: Subito dopo il sisma, dal 15 al 35% della popolazione è stato colpito da disturbo post traumatico)。この地震で自死されたある方は、「地震が私から人生を奪った」と語っている(13)。また、この地震において、当時学生だった方が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の影響を受けていた。「私は大学にいました。授業中にめまいがして、ベンチに寄りかかっていました。 その瞬間、最初の強い揺れ(※ラクイラ地震の前震)がありました。 不安が高まり、遅かれ早かれ何かが起こるのではないかと日々恐れていました。」その後も彼は心因性嘔吐などの症状を抱えていて、震災後も音が怖いなどの症状やパニック発作があったが、心理療法を受け回復した(14)。なお、2009年のラクイラ地震は群発地震であり、4か月以上続いた前震の後に起きた地震(本震)だったため、住民の多くは恐怖感を抱えていた。それは私の友人たちもよく語っている。
このように、イタリアを取り巻く心理的な問題は大きな課題である。ここで私の経験を話させてもらいたい。私も震災による精神疾患(おそらくPTSDであると思われるが、明確な診断はされていない)を抱えている。精神科での薬物療法や自分で行った認知行動療法や暴露療法よりも、一番助けになったのは、当時FacebookやTwitterなどで参加していた精神疾患を持つ方向けの自助グループであった(Facebookのグループは「精神疾患の人達の吐き出し」という日本語のグループだけでなく、いろいろなイタリアのグループにも参加している。TwitterではイギリスのSickNotWeakという団体に参加していた。その他TalkLifeという自助グループのアプリを利用していた)。
自助グループとは、専門家による医療や心理療法ではなく、同じような症状を抱えている人が相互援助のために運営しているものである。このような自助グループが私を支えてくれ、つらい日々を乗り越えるための大きな力となった。薬物療法ではお金がかかるほか、薬には副作用があるので、身体的にも負担がかかる。心理療法は日本ではまだあまりなじみがなく、効果を発揮できない人がいる。たとえば私は発達障害的傾向があるので、EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing: 眼球運動による脱感作と再処理法。心的外傷後ストレス障害(PTSDに有効とされている)は発達障害の特性である感覚過敏の影響を受けるため、適応ではない。自助グループは基本的に無料で運営されている(私が参加したものはすべて無料だった)ため、金銭的な負担がかからない。グループにもよるが24時間365日利用できるものがほとんど(私が参加したものはすべてそうだった)であるため、精神的に助けが欲しいときはいつでも利用できる。さらに、医師や心理師という特定の立場に置かれていない、同じ病気で苦しむ人の「生の声」が聴ける。少なくとも私にとって、「眠れない」と言ったときに「そうですか。じゃあ眠剤を出しますね」ではなく、「つらいよね。そんなときは音楽を聴くといいよ」といったアドバイスはとても有効であった(薬物療法にも利点があるためそこを否定したいわけではない)。
精神疾患を抱える方に足りていないのは自己肯定感である。「私がここにいたら迷惑をかけてしまうし、私は助けてもらうに値する人間ではない。だからだれにも頼らず死んだほうがいい」と思っている友人を私はたくさん見てきたし、実際私自身もそうだった。そのような状態では薬物療法や心理療法に頼ることは難しい。そんなときに「精神疾患を持つことは弱さではないし、それは病気だから仕方ないことなんだよ。私もそう思っていた時期があったし、私もそういう経験があったよ。だから私を頼っていいよ」というアドバイスを自助グループから間接的に受け取り、それは私にとって大きな力であった。また、Facebookで知り合った(自助グループからではない)友人で、震災の被災者である彼女は、私に「君は強いからきっと乗り越えられるよ。大丈夫!」と言ってくれたが、その言葉に私がどれだけ支えられたかわからない。それだけではなく彼女は「何かあったらいつでも私を頼ってね」と言ってくれ、かれこれ3年近くメッセージをしている。実際にこないだ会ってきたばかりだ。ただ、自分でそのような友人に巡り合うことはなかなか難しいので、そのようなつながりを生めるような自助グループを作りたいと思っている。私がここまで回復できたのは、間違いなく彼女のおかげだ。
彼女が私を助けてくれたようなそんな繋がりを生めるプラットフォームを、自助グループという形で作っていきたいと思っている。震災の被災者を心理的に支援するための自助グループとして、オンラインでのグループ運営だけでなく、オフラインイベントも開催したい。
参考記事
10 「自殺」→「自死」言い換え相次ぐ 自治体、遺族感情に配慮

11 Un sisma che ha ucciso e che continua a farlo: 15 suicidi in due anni

12 L’Aquila: salute mentale, «A 10 anni dal sisma le ferite iniziano a guarire»«»

13 L’Aquila, ex alpino si dà fuoco: «Il terremoto mi ha rovinato la vita»

14 Il disturbo post-traumatico da stress e il terremoto. Solo la terapia ti solleva dall’ansia

国際協力について
割愛します
知っておいてほしいこと
まだ関係ないことなので割愛します
コメント / Commentare
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